よくわかる発達障害者支援法

発達障害者支援法ってなに?
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2005年に施行された発達障害者支援法が約10年ぶりに改正されました!

今回の法改正を見ると教育や就労について触れていますが、そもそも発達障害者支援法が「うちの子とどう関係する法律なの?」というのが気になるところ・・・。発達障害者支援法の位置づけについて説明しながら、法改正による変化を解説します。

「発達障害」が認められなかった時代

周囲の誤解に悩む母
2005年4月に施行された発達障害者支援法。

この法律ができるまで、知的障害を伴わない発達障害者は「障害」だと法律上は認められませんでした。

障害と認められない発達障害児・者は家庭、地域、学校、職場で、さまざまな困難を抱えていました。健常者のルールで暮らさなければならず、苦しい思いをする本人や家族が沢山いたはずです。

そのため、発達障害者支援法で知的障害や身体障害を伴わない注意欠陥多動性障害、学習障害、高機能自閉症、アスペルガー症候群などが定義されたことは画期的です。

焦りの顔

私が子どもの時は発達障害なんて言葉はなかったから、30代後半になってから発達障害の診断をうけて精神障害者保健福祉手帳がもらえました。周囲の人と同じようにできない理由がずっとわからなかったので、自分を責めなくていいとわかってホッとしました。(広汎性発達障害・40代・女性)

発達障害とは? ~発達障害の定義・原因・種類・症状・相談窓口まとめ

障害に関わる法律の全体像

発達障害者支援法について触れる前に、障害者に関わる法律の全体像を見てみましょう。

まず、国としての理念を示す「障害者基本法」がベースにあり、その上に障害種別ごとに定義を示す「身体障害者福祉法」「知的障害者福祉法」「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」「児童福祉法」があります。そこに2005年から「発達障害者支援法」が加わりました。

障害者制度の3段構造

障害の種類ごとに「障害者」の定義が定められ、その定義に該当する人が利用するサービスのしくみが「障害者総合支援法」で定められています。障害種別ごとに定義された「障害児・者」のみが障害者基本法の理念に則ってサービスを利用することができるということです。

発達障害者支援法ができるまでは発達障害という存在が認められてこなかったために、必要な支援が提供されなかったばかりか、発達障害からくる学習の進みにくさや、集中のしにくさ、対人関係の難しさを本人の努力のせいに帰したり、親の育児のせいにしたりして、必要な支援を怠り、二次障害と呼ばれるような心理的問題をもたらしてきました。(『発達障害者支援法ガイドブック』中京大学社会学部助教授 辻井正次先生)

発達障害者支援法の概要

発達障害者支援法では、発達障害の早期発見体制と学校や職場での支援体制に関わる施策について、都道府県市町村が責任を持って施行することが義務付けられています。

発達障害児・者支援の施策は、医療、保健、福祉、教育、労働のすべての分野において施行する必要があります。

平成18年障害者白書 厚生労働省 (平成18年厚生労働省「発達障害者支援法のねらいと概要」)

厚生労働省 発達障害者支援施策 発達障害者支援法

発達障害者支援法の改正で何が変わったの?

発達障害者支援法が施行されて、発達障害児・者は支援サービスの対象となりましたが、まだまだ抜け落ちている部分はあります。約10年ぶりの改正では、以下のことが盛り込まれました。

【教育面】
・発達障害がある子供が他の子供と一緒に教育を受けられるように学校側が目標や取り組みを定めた個別の計画を作成し、いじめ防止対策や、福祉機関との連携も進めること

【就労面】
・国や都道府県が働く機会の確保に加え、職場への定着を支援するよう規定。事業主に対し、働く人の能力を適切に評価し、特性に応じた雇用管理をするよう求めること

【その他】
・刑事事件などの取り調べや裁判で不利にならないように、意思疎通の手段を確保すること。
・都道府県や政令指定都市に関係機関による協議会を設置が盛り込むこと

096922

そういえば、障害のある子どもを小学校から高校まで一貫して支援するための“個別カルテ”を作るって文部科学省が動いてるってニュースがあったわね。

説明する男性

そうです!通常学級に通う比較的軽い障害や発達障害の子どもも対象で、2020年度以降に導入を検討しています

子育てを終えたお母さん

担任の先生が変わる度に子どもの特性を伝えないといけなかったから大変だったわ。あの頃は親子ともに苦労しました。

「障害者」になることは心の痛みを伴うの?~発達障害者支援法について思うこと

みんなちがってみんないい
発達障害者支援法について調べる中で「障害者」という診断をもらうことはどういう意味を持つのか?という事を考えさせられました。

診断を受けて「障害者」だというレッテルを貼られた時の心の痛みのことを専門家は「スティグマ」と呼ぶそうです。これはネガティブなレッテルを貼られたときの心の痛みを指します。発達障害の診断にもスティグマが伴うのかというと少し違うようです。発達障害というレッテルが貼られることで

「診断名がついてホッとしました」
「自分のままならなさの理由がやっとわかりました」

など、スティグマを感じるばかりではないことが成人した発達障害の人たちのエッセーには書かれています。診断を受けずに自分を責めつづけてて二次障害を患ってしまう人は今も沢山います。

発達障害者支援法が施行されたのはたった10年前です。発達障害の人はそれ以前からいるはずなのに、見過ごされてきたことは多くの人生に影響したはずです。施行から10年ぶりの改正が発達障害を生きる人の現状に即したものになることを願います。

《関連する記事》
発達障害とは? ~発達障害の定義・原因・種類・症状・相談窓口まとめ
よくわかる障害者差別解消法

《「障害」表記について》
この記事では制度・法律の名称について正しく記載するために「障がい」ではなく「障害」と記載しています。

《この記事の参考にさせてもらった資料》
「改正発達障害者支援法が成立 就労定着の強化へ」福祉新聞2016年6月7日記事
・「障害のある子の「個別カルテ」ってどういうこと?文科省に聞いてみた」LITALICO発達ナビ
・東京都保健福祉局『発達障害者支援ハンドブック2015』(2015)東京都福祉保健局障害者施策推進部精神保健・医療課
・日本発達障害ネットワーク『改訂版 発達障害児のための支援制度ガイドブック』(2015)唯学書房
・日本小児神経学会「発達障害者支援法の理念と運用の状況・問題点」
・発達障害者支援法ガイドブック編集委員会編『発達障害者支援法ガイドブック』(2005)河出書房新社
「発達障害に関係する法律等の改正に関する情報」発達障害情報・支援センター

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