発達障がい児・者と家族の3月11日

発達障がい児・者と家族の3月11日
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平成23年(2011)年3月11日金曜日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生しました。太平洋沿岸部には巨大津波が襲い、各地で甚大な被害が発生しました。その後の原子力発電所の事故も重なり、きわめて深刻な複合的な災害がもたらされ、いまだに多くの方が避難生活を余儀なくされています。震災による被害は過去のことではなく、現在進行形で続いています。

あの時、被災地の発達障がい児・者はどのように過ごしたのでしょうか。どのような困難があり、震災後はどのような支援に助けられたのでしょうか。発達障害情報・支援センターの調査を元に「あの日」を振り返ります。

被災地での発達障がい児・者に対する調査

国立障害者リハビリテーションセンター研究所発達障害情報・支援センターが「発達障害児・者のニーズを踏まえた障害福祉サービス等の利用支援に関する調査」を2012年2月~3月に実施しました。東日本大震災の被災地における発達障害児・者のニーズを決め細かく把握し、それを踏まえた障害福祉サービスを提供することを目的に実施された調査で、岩手県、福島県、宮城県(仙台市を除く)の発達障害児・者276人(家族が代理で回答もあり)への質問紙調査を行った結果がまとめられています。
震災1

地震が発生した時どこにいましたか?

震災2

誰といましたか?

震災3

3月11日の夜をどこで過ごしました?

震災4

震災直後の生活上の困難

震災直後に困ったことはなんですか?

震災5

12 (1)

「DVDをどうしても見たくてかんしゃく、パニックを起こして手がつけられませんでした(13歳)」

10

「ろうそくの炎で髪の毛や眉毛をこがしました。火に興味があり困りました(8歳)」

困った顔

「トイレに全く入れず每日失禁するようになりました。現在も失禁は続いています(10歳)」

当時、被災地は雪混じりの厳しい寒さの中で電気やガスの供給が止まり、電気・水道・ガスのライフラインや通信手段もとまりました。このことは震災直後の生活に影響をあたえ、発達障がいのある人や家族にも一層困難な状況をもたらしました。

避難所での生活について

避難所を利用できましたか?

震災6

無理な顔

「我慢できない、静かにできない、ひとりごとを話す、飛び跳ねてしまうなど、どうしてもほかの人に迷惑をかけてしまいます(12歳)」

困った顔

「音に敏感でたくさんの人が集まる場所が特に苦手、体育館は音が響いて特に難しいです。運動するところと勘違いしているようです(16歳)」

疲れ顔

「夜中に目を覚まし、声をだすので2週間は車に泊まりました(7歳)」

困った顔

「安定剤を服用させてもパニックは治まらず、多動は強くなるばかりでした(10歳)」

大勢がひしめき合う一般避難所の環境は発達障がいの人には過ごすのが難しく、周囲の人に気兼ねして家族の心の負担も大きいようです。

どのような避難所なら安心して過ごせるでしょうか?

間仕切りのあるスペースや個室があるとよい
「フェンスやついたてのようなもので視界をさえぎるようにしていただけると、だいぶ落ち着くと思います(10歳)」
「寝る時だけ他の部屋にしていただきありがたかったです」

話を聞いてくれる人がいると安心
「市の保健師さんが居たので相談できたことがたまたま幸運でした」

室内で安定できる工夫があるとよい
「避難所ではニュースしか移していないので携帯電話のワンセグで子ども番組を見せていました。充電できる環境だったので助かりました。(9歳)

避難生活で必要な物資

物資の確保について困ったことは何ですか?

震災7

食料について
「非常食はどんなに空腹であっても食べられませんでした(10歳)」
「飲料はコップについで、パンは半分や四等分にして中身を見せることで、目で見てわかりやすい状態にして食べさせました(11歳)」

医療やおむつについて
「子どもは自分の服がよいので、津波で汚れた服も洗って着ていました。(12歳)」
「『もうオムツの歳じゃないでしょ』と1~2枚しかもらえなくてすごく困りました(5歳)」

薬の確保について
「近くの薬局で薬をもらえたが、いつもと違う形状で結局飲めなかった(10歳)」
「每日服用する薬は半月分くらい余分に持っているように心がけています(15歳)」

物資の配給方法について
「障がい児を連れてあの行列に並ぶのはとても無理(10歳)」
「家庭には配給の情報が入ってこなくて、後で知ることが多かった(15歳)」

「~しない」のではなく「~できない」という発達障がいゆえの困難が目立ちます。また周囲の人っから発達障がいについて理解がない発言をされることも保護者と本人を追い詰める要因になっていたようです。

振り返って・・・

地震や災害時には障がいの有無に関係なく誰しもが「被災者」になります。
その中でも、発達障がいの子どもにとっての3.11の経験を知りたい気持ちから、今回の記事を書きました。

震災は目に見える被害の大きさだけでなく、地域の繋がりを失うことが障がいの重度化や二次障がいに影響します。
歩けた人が歩けなくなり、家で暮らしていた人が施設に入るなど震災による被害は過去のことではなく現在進行形で続いています。

次回は「(仮)災害時の発達障がい児・者への支援について」と題して、発達障がいの特性を踏まえた防災の方法をご紹介したいと思います!

《この記事の参考にさせてもらった資料》
・東京都総務局総合防災部防災管理課『東京防災』(2015)
・国立障害者リハビリテーションセンター研究所 発達障害情報・支援センター『災害時の発達障害児・者支援 エッセンス』(2013)
 http://www.rehab.go.jp/ddis/
・発達障害情報・支援センターに資料をご提供いただきました。ご協力頂きありがとうございました!

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