【漫画の紹介】『ちーちゃんはちょっと足りない』

ちーちゃんはちょっと足りない
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阿部共実さんの『ちーちゃんはちょっと足りない』という漫画をご存知でしょうか。成績、お金、恋人、友達、いつも何かが足りない気がする中学2年生の女の子たちの物語です。明るい表紙のイラストとは裏腹に、物語の結末は読者を暗い気持ちにさせます。

『ちーちゃんはちょっと足りない』のストーリー

中学生のちーちゃんは掛け算ができません。割り算は全くのお手上げです。「障害」や「発達障害」という言葉は出てきませんが、おそらく知的ボーダーの女の子です。

そんなちーちゃんの面倒を見ている友だちのナツちゃんは内気な女の子です。家が貧乏なことに大きな劣等感を抱えています。

そんな2人はクラスの成績優秀な友達や、学級委員に助けられながら普通の日々を送っていました。

いつも面倒を見てくれるあの子

この本は障害のあるちーちゃんを主人公にした話ではありません。何かとちーちゃんの面倒を見ている友達のナツが主人公です。

ちーちゃんの保護者はちーちゃんに語りかけます。

「ナツちゃんは大人しくて、優しくて、真面目で、すごくできた子なのに。あんたなんかと一緒にいてくれるんだから、たまには何かナツちゃんに恩返ししなきゃね。」

「あんたがナツちゃんにしてあげられることってなんだろうね?」

あの子も足りないものを探している

ナツちゃんの家は貧乏です。

朝から晩まで働くお母さんをみて、ナツちゃんはいつも我慢をしています。ナツちゃんは心のなかで思っていました。

「みんな何か足りないものはないの?怖いものはないの?嫉妬するものはないの?なんでみんな不満そうな顔すらしないの?そんなのおかしいよ」

「未来がせまいよ・・・」

ナツちゃんはちーちゃんの面倒役を引き受けることで居場所を感じられていたのかもしれません。

ちーちゃんを利用していることを自覚するナツちゃんは、そんな自分を「最低だ・・・」と思っています。

そんなナツの心が、ある事件をきっかけに弾けます。

みんな、何かがちょっと足りない

この物語はみんなが「ちょっと」だけ足りません。

でも、足りないからといって死ぬわけではないし、楽しいことだってたくさんあります。

登場人物はみんな、他人と関わることで自分の足りない部分を埋めたり、足りないことを受け入れます。

この物語は「統合教育」や「共生社会」のような難しい言葉からはこぼれ落ちてしまうリアリティがあり、最後の結末は読み手に強く問いかけます。

この本を振り返って

教育行政や福祉制度はシステムです。システム化しなければ多くの人に行き渡らせることができません。けれど、現実の人と人の間にはドラマがあります。代役のいないドラマです。

そのドラマを表現する方法として、本や漫画は素晴らしい作品がたくさんあります。

『ちーちゃんはちょっと足りない』を読んだ時にすこし暗い気持ちになりました。そして考えをめぐらしました。

「障害」をテーマにしたハッピーエンドになる物語はたくさんあります。たまには「考えさせられる漫画」もいかがでしょうか?

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