【漫画の紹介】健常と障害の『はざまのコドモ』

漫画 はざまのコドモ表紙画像
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主人公のヨシ君は発達障がいのある子どもです。「字がかけない」「睡眠障がいで朝起きられない」など日常生活で様々な困難があるため本当は支援や配慮が必要です。けれど、特別支援学校への進学が認められません。なぜなら、ヨシ君は健常者でもなく障がい者にも入れない「はざまのコドモ」だからです。

この本は「はざまのコドモ」の日常とその母親の奮闘が描かれています。自身もアスペルガーの漫画家 沖田☓華(バッカ)が描くノンフィクション・エッセイです。

「はざまのコドモ」って?

この本に出てくる「はざまのコドモ」は専門用語では「境界知能」と呼ばれます。IQテストによって、おおまかにIQ70以下が「発達遅延」、IQ90前後からが正常と定義されています。そのはざまとなるIQ70~85ぐらいが「境界知能」とされ、この本に出てくるヨシ君はIQ85の境界知能に入ります。境界知能の人は複雑で抽象的なことを聞かれるとわからないことがあります。
 

「ヨシ君は書き取りがほとんどできず自分の住所もいえない。精神年齢は実年齢より2歳下。発達障がいの診断を受けた時、医師から知能の遅れがあるといわれたにも関わらず、知能指数が(手帳の)交付水準より高かったので「知的障がい」と認められなかった」

困った顔

「日常生活が困難なのに・・・先のことを考えても療育手帳がもらえないと困るのですが・・・」

障害者手帳制度のはざまに落ちたヨシ君

ヨシ君のように境界知能(知的障がい)と発達障がい(自閉症スペクトラム)を併せ持つ場合もあります。ヨシ君の場合はIQの数値が高いために療育手帳が支給されません。そのため、普通学級での学習や日常生活が困難なのに特別支援学校にも行けないのです。

「このまま手帳がもらえないと特別支援のある中学校にはいけません。かといって、普通学級の中学校ではヨシ君を受け入れるのは難しいと思います。」
「・・・・(言葉を失う)」
「手帳がない限り、私達(教育委員会)はどうすることもできません。一刻も早く手帳をもらってきて下さい」
「大変だ・・・・」

はざまのコドモの苦悩

健常者の中では「怠け者」「反抗的」「やる気がない」等、わざと手をぬく健常者として扱われます。しかし、療育教室や障害者の集まりでは「(障がいが)軽くていいね」と、仲間にも入れてもらえません。

「ねえ、仲間に入れてよ」
「こっちは健常者だよ。障がい者のところに行けよ」
「こっちは障がい者だけだよ。おまえ、障がい者じゃないじゃん」
「・・・(おろおろ)」
「こっちに来るな!迷惑だ!」
「うちらと同じだと思うな!!」

健常の枠にも障がいの枠にも入れない。「はざま」のヨシ君。
ヨシ君がヨシ君のままでいられる場所は一体どこにあるのでしょうか。

「できる」と「できない」のはざまのコドモ

はざまのコドモについて説明するときに「~~はできる」「けど~~はできない」「~~まではできるけど~~の場合はできない」など説明しにくい部分があります。本の中でもヨシ君のできること、できないことを説明する箇所に少し歯切れの悪い印象がありました。そういった説明の難しさこそが、はざまのコドモの生きづらさなのです。

この本が文章で書かれていたら重い話に受け取れてしまいますが、沖田さんの漫画の良いところは「わかりやすくて」「面白くて」「役に立つ」ところです。ぜひお手にとって見てください。

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