【本の紹介】自閉の世界を旅する本

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自閉の世界への案内人 ~作家 東田直樹さん

会話のできない自閉症の中学生が書いた本があることをご存知でしょうか。『自閉症の僕が跳びはねる理由』という本があります。約30カ国で翻訳出版され、英語圏で翻訳された書籍は10万部の売り上げを突破しています。NHKのドキュメンタリーでも取り上げられました。なぜこの本が日本国内だけでなく世界中の人を惹きつけるのでしょうか。本のはじめにはこのように書かれています。

「自閉の世界は、みんなから見れば謎だらけです。少しだけ、僕の言葉に耳を傾けてくださいませんか。そして、僕たちの世界を旅して下さい」

東田さんの本を通して、自閉の世界を旅してみましょう。

『自閉症の僕が跳びはねる理由』(2007年)

著者の東田直樹さんは会話のできない重度の自閉症です。パソコンと文字盤ポインティングによって、援助なしでのコミュニケーションが可能になりました。これまで、治療や療育の対象としての自閉症に書かれた本は数多くありますが、自閉症を生きる当事者の内面が書かれている本はとてもめずらしいです。会話ができない自閉症の子どもをもつ保護者がこの本を読んで「自分の子どもの気持ちが少しわかった」という感想も多く耳にします。自閉症の人と関わる全てのひとに手にとってほしい一冊です。

自分が障害を持っていることを、僕は小さい頃は分かりませんでした。どうして、自分が障害者だと気づいたのでしょう。それは、僕たちは普通と違う所があってそれが困る、とみんなが言ったからです。しかし、普通の人になることは、僕にはとても難しいことでした。(中略)自閉症を個性と思ってもらえたら、僕たちは、今よりずっと気持ちが楽になるでしょう。みんなに迷惑をかけることもあるけれど、僕らも未来に向かって楽しく生きていきたいのです。(p.2-3)

『続・自閉症の僕が跳びはねる理由』(2010)

高校生になった東田さんが書いた本です。自閉症について「されて嫌なことは何ですか?」「どのような援助をして欲しいですか?」など、自閉症の人と関わる人が知りたい60の質問に答えます。「自閉症とは何かを一番知りたいのは自分だ」と語ります。自閉症の彼が見ている世界が孤独な世界ではなく、豊かな世界であることを教えてくれる本です。

「自閉症の僕が跳びはねる理由」を出版したとき、色々な方からご意見をいただきました。その中で、僕が当たり前に思っていたことが、普通の人にとっては意外なことも多いということを知りました。(中略)僕は、今も人と会話ができません。自閉症という障がいを抱えて生きています。自閉症という障がいについて、どんなふうに感じているのか、中学生の頃と比べて変わった点、変わらなかった点、色々あります。それを踏まえて、高校生になった現在の僕が持っている思いを、聞いていただけたらと思います。(「はじめに」より)

『あるがままに自閉症です』(2013)

東田さんとブログ参加者とのやりとりから生まれた本です。成人した東田さんがこれから大人になろうとしている自閉症児に向けて、メッセージを綴っています。この本を読んだ保護者の方の反応は「遠い遠いところにある自閉症の息子の心がとっても近くに感じました」「自閉症児の母としてもう少し頑張れそうです」というものもありました。Q&A方式で書かれている項目の中には「診察」「苦しみ」「パニック」「障害者は純粋か」等々、深く考えさせられるものもあります。

『THE REASON I JUMP』(2014)

『自閉症の僕が跳びはねる理由』の英語翻訳本です。Sunday Times誌とYork Times誌でもベストセラー本として取り上げられ、「What makes this book really so special and unique is that it is written by a person with autism. 」(この本が興味深く、特別で、かつユニークなところとは自閉症の本人によって書かれていることです)と、日本の中学生が綴った自閉症を生きる世界を驚きをもって受け止められています。

自閉症の人と関わった経験のある人は東田さんの本に驚かされるかもしれません。自閉症の世界を知ろうとすることは、まるで異文化交流のような発見があります。そして、自閉症の人と関わった経験を思い出しながら「あの時パニックを起こさせてしまったのは、私の関わり方が彼にとって辛い思いをさせていたのかもしれない・・・」と振り返るきっかけをくれます。
ここでご紹介した以外にも東田さんの本はあります。自閉の世界を知りたいと思う人はぜひ手にとってみてください!

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